南部とらじょ様

唄 馬渡リサ子

青森県でいえば、八甲田の東側を南部地方という。岩手県北部も含む場合が一般的だが、青森県人にとっては、津軽地方に対しての南部地方という意味合いが強い。ナンブとツガルは、ミンゾクもブンカも違うのだ。八戸、七戸、三戸、五戸、六戸、(一、二、九は岩手県。)十和田、三沢、田名部、上北、下北、野辺地、とかだな。

青森県であらゆる分野で権力を握っているのは津軽勢力で、政治家にしろ文化人にしろ大方、津軽出身なのだが、それは、明治権力に対してまっ先に寝返ってごろにゃんしたのが津軽であって、それ以来政治権力や官僚はすべて津軽に奪われてしまったという歴史を引きずっているにすぎないのだ。それだけ津軽はずーずーしくて、でしゃばりで、立ち回りがうまいってわけだ。寺山修二などは南部の三沢出身のくせに津軽コンプレックスのかたまりで、自ら津軽人を装っていた裏切り者そのものなのである。...(まあ、寺山ほどほらふきでじょっぱりならえんでねのが〜、というのはある^^;)

てなことは、話半分で聞いててケロじゃ^^。

ま、南部人はおっとりしてるってのはある。

(津軽と南部....、津軽てのは南部よりもやっぱりエネルギー量が多くてでしゃばりでおしゃべりでずーずーしくてつらの皮が厚くて粘着質なんだけど、やかましくてこうるさくて少しうらやましい気もしないでもないけど、んでもじょっぱりってのは南部もおんなじなんだよね。一度しゃべったこどは死んでも曲げたぐね。それでも南部はさっぱりしてでおおざっぱでねばりが足りなくて....、やっぱり気候のせいだなこれは。)

だって、南部の歌っていえば「南部牛追い唄」だし、津軽は「じょんがら節」だもんね。生きるペースが違うって感じだねえ^^!!(南部民謡と津軽民謡を聞き比べるとますますはっきりする。あいや節とかよされとかどっちもあるけれどまるで違う。南部に暗い唄はない。俵積唄とか馬方節とか荷方節とかの「ワークソング」もなんだか明るいしユーモアがある。チョイサッサとかヨーイトコラサとかヨホホイノエとかコラショ、シャンシャンとか合いの手がまた軽い。「南部とらじょ様」とか「南部なにゃどやら」とかなんともおもしろい。権力風刺もたっぷりだ。

#南部殿様 ぼた餅好きで ゆうべ七皿 今朝八皿

#田名部横町の川の水のめば 八十ばさまも若くなる

#八十ばさまが若くもなれば 焼いた魚が泳ぎ出す

#おやじ貰ってけだ おかだ娘ば欲しくない

#ならば天間の みよ子欲しい ...

 ...ならば妹のみえ子でも  ...どんたらこったら... (どんどん続く...)

南部よいとこ 粟めし稗めし のどにひっからまる 干菜(ほしな)汁....

まったく「南部とらじょ様」ってのはどういう唄なんだ。生きてるうちに今度おらほのばさまさ聞かへでもらねばなんねえ。

南部弁は、反中央であり、反権力であり、反体制そのものであり、差別と抑圧に対する自由への闘いの文化そのものなのだ(と俺は勝手に理解した^^;)

例えば、

相手が言ったことに対して「違う!」と否定する時、南部弁は変幻自在に次のような3段活用を駆使する。

*「いや、あんたの言ってることは違うと思いますよ」とおだやかに否定する時は、

「でね!」と冷静な口調で語る。

*「いや、そんなことはない。あんたの言ってることは間違ってる」とはっきりと強く断定的に否定する時は、

「んでね!!」とトーンを上げて語尾強く目尻を釣り上げて叫ばねばならない。

*「なに言ってんだ、あんた。そんなわけないだろ」と怒りをもって批判しなければならない時は、

「ふでねえ!!!」と髪振り乱してつばきを飛ばして絶叫するのだ。(しまいには、「でねものはでねえ!ふたらぐぞ!」となったりする....)

つまり、そこにある表現の省略化とは言質をとられないがための防衛行動であり、(標準語という規制とルールという押し付けに対する)自由への叫びなのだ。民族解放闘争というのは常に言語の復権からはじまる。

ヘっヘ...^^;ほらはこれぐらいにして(笑)......、

というわけで、津軽弁はすでに復権してるけれど、南部弁は消え去りつつあるってのは許せん。という主旨で少しずつ南部弁を紹介していこうとおもっております。

わもわすれでまったすけおべでだらででもいいすけすかせでけろ。...

(ところで高橋克彦によると、秀吉の全国統一に最後に抵抗したのは小田原の北条氏ではなくて、その後「九戸城の乱」という歴史から抹殺されたものがあったらしくてこの時の主力が九戸、二戸、七戸あたりの南部藩士だったそな。5.000人でろう城して10万の秀吉軍を1週間で2,000人ぐらい殺して、自軍はほとんど無傷でさっさと「和議」に応じたらしい(笑。このあっさり感が南部気質である)。ところが「和議」なんか秀吉にはへでもない。首謀者は即刻斬首。一族郎党打ち首。それどころか寺まで焼き討ちにして歴史からほうむろうとしたということだ。ふん。秀吉とか家康なんてこんなもんだ。南部のじょっぱりは長いものにはまかれろをよしとしないのだ。ほれ見ろ。南部弁は正義と反逆の言葉である。わのへった通りだべ^^;)

 追記:津軽に対して他意はありませんのであしからず^^;半分冗談です。半分なんて書くとまた追求されそうなのだけれど、津軽もおんなじ蝦夷だし、九戸政実と津軽為信は盟友だったらしいし^^;


洗う とは言わないんだな、南部では。*洗る とへる。あらるといえば雑巾は、いだふきという。ふきんは*はんでふぎと言う。

降りる とも言わない。*おぢる としゃべる。もちろん降ろすとも言わない。落どす としゃべるのだ。南部では飛行機は三沢におぢるし、子どもを車からおどすのだ。

捨てる もしゃべない。 *なげる と言うのだ。ゴミは捨てないでなげる

どぶろく は、*おほ と言う。

物をなくしたら、*いなぐした てしゃべるんだじゃ。

*おべだふりのなもしらず  知ったかぶりのなんにもしらないやつ。....よくいるよね。こういういやな奴が。

*あべ あんべ  来い 「こっちゃあべ」[こっちへ来い]

*あずましい いい、すばらしい

*あんぶらしねえ  危ない (青森弁がいつも省略形なわけではない...)。強調形。

*いいでば いいから、いいから。

*あや あっぱ わらさんど  おやじ おっかさん 子供ら


「な、どさ、ゆさ」という津軽弁は、有名になって東京人でもおぼえでるがらな。

*「か、け。わ、い。」っていう南部弁はどんだね?「さあ、食え。俺はいらないから。」というわけだ。* 食え

買う とも言わない。*買る 言うのだ。おらんどの頃は、わらさんどは駄菓子屋に入って「かる〜」と叫んで店の人を呼んだものだ。

*かでろ  仲間に入れろ

*かっつぐ 追い付く リレーなんかで前の走者に追い付く時「かっつげ〜!」とさけぶ。

*からきじ  (仕事とか生活上で)好き嫌いがはげしくてあまり働かないこと。

*からっぺ  食べず嫌い。

*かんつける  ごまかしたり、しらばくれたりする。

*こびり 昼飯、にぎりめし

*けどつける  雪をかたずけて歩けるようにする

*きゃっぽり(かっぽり) 水たまりとか川とかにはまったり落ちたりすること。

*きもやげだ(焼けた)  あったまにきた。肝臓(きも)がカッカするような怒りあんばいだな^^

*けっちゃ 反対、逆

*こえ 疲れる、疲れた

*ぐれっと 全部、根こそぎ。*ずっぱど ともいう

*さむつれに  寒いのに

*しねぐれ  (死ぬくらい?) 一生懸命。命がけ。

*しまれだ  いいところをとられた

*じょっぱり 強情者

*じえごたろ  田舎者。 ”在郷太郎”かな?

*しょうしい  はずかしい (青森の友人マサヒロくんに教えていただきました。八戸弁だそうです。)

*じゃ! 何かを見て絶望的になった時。語尾下げ。

*じゃわめぐ  怖い思いをする

*すける  手伝う

*すねから  足

*せば じゃあ、また。 んだばともいう。それでも長いと思うと、だばと言って、しまいには、としか言わなぐなる

*ちょす  触る。 「ちょすな」{触るな}

*でってらっきゃ〜?  どうしてた?

*ちゃ! 何かを見ておどろいた時。語尾上げ。

*でったら  どうしたら  [例]でったらいいのよ  どうすりゃあいいんだ

*とっくりげる  ひっくり返る

*どやへば  (=でせば) バカ言うな

*どんだりこんだり  好きなように


*ばげ 夜。晩。「毎ばげ」とか「ばげめし」とか。ところが、昨ばげも明ばげも使わねなあ。今ばげもねな。「今晩わ」は、『おばんです」だもんなあ。なんでがなあ?

*へでぐ   連れて行く 「俺をスキーに連れてって」・・・わばスキーさへでげ(へでって)

*ふnでね  (誤植じゃないよ) ちがう  そうじゃない  ふでね と ふんでね の中間ぐらいか?

      どうも標準日本語じゃ表記不可能である。

*「そうだから」を

 津軽弁風に言うと、

「そんだはでなあ〜」と流れるようなテンポで1♯上がって津軽民謡風となるが、

 南部だと,...

だすけ

とアップテンポで1♭下がってパンク風になる (^_^)。...な〜んてな^^:

*どどもなぐ  ものすごくおおげさに。”度が無く”かなあ?

*たなぐ  持ち上げる

*で  誰  [用法] dedadagaでだだが 誰だったかな

*ちゃっちゃど  さっさと

*つらんつけねえ  図々しい、恥知らず


*なげっつ 泣き虫

*なげる 捨てる 「ゴミなげろ」とか

*ながまる  足をくずして楽になる  足をながくのばせってことだな

*ぬくまる あたたまること [用法]  (冬、寒いなかを客がうちにたずねてきた時、その人に対して言う。)

                  「こっちゃきて、ぬぐまって!」

                  (客がなかに入ってきたら)

                  「ながまって、ながまって!」


*はんかくさい ばか。あほ。ちょっと頭悪い。すけべったらしい。

*はんたか  はだか

*はらちぇ...   腹一杯だ。

*へっちょ  へそ(べっちょ じゃないよ^^) 

*へっちょはく  えらい苦労をする へとへとになる

*ひじゃかぶ  ひざ

*ふっちゃぐ  破る。

*へっぺ   お*んこ  軽い感じで言う。へっぺすっか?

ところで、りんごの紅玉のことを南部では「まんこ」という。津軽では「千成」という。津軽のセンスの中途半端さは一目瞭然である(笑)。

*へる、へろ  しゃべる、しゃべろ

*ほいど  乞食

*ほごりくるめ  ほこりだらけ

*ほへる  干へる。乾く

*まなぐ  眼

*なづぎ  

*もちょこい かゆい

*めごい  めんこい かわいい

*むんつける  ふてくされる  不機嫌になる

*ぬさばったやづだ   生意気な野郎だ  「ぬさばるな、ふたらぐぞ」とか言う。{生意気言うな、      殴るぞ}

*めぐされ  きたない、ぶす  *みったぐなし  ともいう

*めえっぱら  


*ゆくてね(ゆぐでね) ろくでなし 悪党。

*やぐど  わざと。冗談だ。

*やっこい  柔らかい。

*ゆぶい  けむい。

*わ、いが おめ   俺、おまえ、あんた

*わんだ  俺のものだ  誰かが「これだれのものだ?」と聞いてきたとき、缶コーヒーのコマーシャルのごとく「WONDA」!と叫ぶ(笑)。  

*わだっきゃ 「わ」とは「俺」「俺」「おら」とか一人称であって南部では男女の区別なく使うが、「俺は」は「わは」とはならないのだ。しゃべりづらいがらね。そういう時に「わだっきゃ」となる。少し強調形だな。

*わがね 

  1. だめだ。津軽だと、まいね とか まね とか言う。マイネとかマネーとか英語へってんでねぞう。
  2. 解ね。これはわがるべ?解らない、という意味だべさ。

*んだ んでね んだおが?  そうだ そうじゃない ほんとか? 


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